養子縁組と戸籍

普通養子縁組と特別養子縁組では、戸籍の記載に及ぼす影響が異なります。そのため、それぞれについて分けて考える必要がありますので、混合しないように気をつけてください。

その前に、まずは戸籍について基本的なことを確認しておきましょう。これは、出生から死亡までの個人の親族関係等の身分を証明するものです。具体的な記載内容としては、氏名や生年月日、父母や兄弟姉妹、配偶者といったものがあります。本籍地に保管されていますので、住民票とは別の場所になっていることもあります。本籍地を移動しないで引越しをしている場合があるためです。

戸籍の記載内容は婚姻(結婚)によっても変わることになります。身分を示すものであるため、知られたくないことまで表示されてしまい、不利益な記載内容になっていることもありますので、注意する必要があります。

普通養子縁組と戸籍

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この場合に注意しなくてはならないのは、戸籍の上で簡単に普通養子縁組をしたことが分かるという点です。他人に知られたくないと思っていても、記載内容から明らかになってしまいますので、プライバシーの観点からも注意が必要です。

実の親子のように生活していて、他人に知られたくないと思っている場合であっても、記載内容を見ると容易に家族関係が分かってしまうという点で、時に不都合があることを理解しておく必要があります。

また、実親との関係も継続しますので、戸籍上もその関係が抹消されるわけではありません。新しい親子関係が付け加えられるだけで、法律上も縁が切れるわけではないのです。

特別養子縁組と戸籍

血がつながった親子関係に近い状態を作り出すのが特別養子縁組です。この場合には、戸籍にも長男や三女といったように、血縁関係がある家族のように記載されますので、一見すると実子であるように見えます。

そうした意味で、特別養子縁組は戸籍の上でもより実親と実子に近い関係を創出することができる制度であると言えます。厳しい要件が求められ、手続きも容易ではありませんが、本当の親子に近い関係を作り出すことができるというメリットがあります。

縁組をした時期によって、事情も変わってきます。本当に幼い頃から生活を共にし、血のつながった親子として養育している場合もあれば、実の親ではないことを子供も理解しているケースもあります。そうした意味で、当人同士の間でも戸籍の記載によって不都合が生じる場合と、そうではない場合があります。

対外的にも、詳しい事情を知られたくないと感じることもあるでしょう。そうした場合にも、公的な文書に証拠が残ってしまうことになりますので、普通養子縁組の時にはリスクを理解しておく必要があります。ひょんなことから個人的な事情を推測されてしまうこともあるので、あらかじめ危険性も承知しておかなくてはなりません。