国際養子縁組の基本

貧困地域の支援の意味も含め、海外では名立たるセレブがアフリカやアジアから国際養子を取って縁組をしていることがあります。ボランティアや福祉への貢献の一環として海外では賞賛されている行為である反面、外国人の里子を商品化する危険性も含んでおり、慎重な手続きが必要となります。

国際養子縁組に関わる条約としては、ハーグ条約がありますが、日本は批准していません。また、1989年に採択された子供の権利条約では、不当な金銭授受を禁じて、商品として取引されるのを防いでいます。各国の中でも、批准しているケースとそうではない国があります。また、国によって国内法もそれぞれに異なりますので、手続きについては複雑になっています。

日本人同士が国内で縁組をする場合には、わが国の法律にもとづいて手続きを行うことになります。民法によって年齢をはじめとした条件が規定されており、一国の法律で一元的に管理することができます。これに対し、外国人との間の国際的な問題においては、それぞれの法が絡んでくることになり、簡単には割り切れないグレーゾーンが生じることもあります。

国際間の法律適用のルールについて定めた法例20条によって、「縁組当時の養親の本国法による」と規定されています。この場合、夫婦で国籍が異なっていて養親になる場合には、それぞれの本国法が適用されることになります。

このほかに、国際養子の本国法にも必要な手続きや条件が定められていることがあります。実父母の承諾や裁判所をはじめとした公的機関の許可といったものです。こうした要件にも注意が必要です。

このように、一言で外国人と言っても、相手となる国によっても異なるところが難しいところです。国際法という言葉はありますし、法律分野での学問もありますが、これは各国で共通のルールを締結した統一の規定ではなく、それぞれの国の法がどのように関係しあっているか、あるいは条約でどのような規定がされているかといったことに関するもので、多分に曖昧な部分があるのです。

国際養子と在留資格

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外国人を国際養子として日本で引き取る場合には、在留資格が気になるところです。まず、特別養子縁組の場合ですが、この場合には日本人の親子と同等に取り扱わされますので、「日本人の配偶者等」の資格を受けることができます。

これに対し、普通養子縁組の場合には話が変わってきます。養親が日本人の場合はもちろん、永住者や1年以上の在留期間のある定住者、特別永住者の場合には、外国籍の養子には6歳未満に限って定住者の資格が与えられています。6歳以上になると、人道上必要な特段の事情として法務大臣から在留資格が与えられる場合を除き、通常の外国人と同じように扱われます。

国際養子縁組をするケース

まずは国際結婚に伴う場合があります。日本人同士で連れ子がいる場合と同様に、外国人の夫や妻と結婚する時に、どちらかに子供がいる場合があります。このような場合に縁組をすることがあります。

海外で暮らしている人が、その国で縁組を行う場合もあります。国籍とは異なる場所で長年生活している場合には、その国になじんでいるため、日本人よりも相手国に根付いているため、国際養子を取るといっても、日本で暮らしている人に比べると抵抗が少なくなりやすいでしょう。

児童福祉の観点から国際養子縁組を行うことも多くあります。アメリカを始めとした先進国で受け入れ先となり、途上国が子供を送り出す側になることが一般的です。十分な余裕がないために子供を満足に養育できない場合に、豊かな人が代わりに外国人を受け入れ、育てようという趣旨です。

国際養子縁組以外での貢献方法

親子関係を作り出すのは容易なことではありませんし、国際養子の場合には上記のように各国の法令が複雑に絡み合い、現実的には日本で外国人の子供を育てるのは難しいのが現実です。また、その国の文化や言語の中で育ってほしいと思う方もいるでしょう。

自分で育てるほどの余裕はなくても、子供が学校に行ったり、十分な栄養状態で育つために食糧支援をするといった支援の方法もあります。もっとも簡単な方法は、ユニセフをはじめとした国際機関に募金をする方法でしょう。ただし、この方法では自分の資金の使途があいまいになります。

特定の子供を支援することによって、里親のように支援していく仕組みもありますので、そうした制度を活用するのも一つの方法です。子供にとっても、特定の人が自分を助けてくれているということは、気持ちの面でも救われるところがあるはずです。