里親制度と養子縁組

里親制度は児童福祉法に基づくもので、保護者がいない児童や、保護者による監護が不適当である場合に18歳未満の子供を養育するものです。この場合には、希望すれば自由に行えるわけではなく、都道府県の知事によって適当であると認められなくてはなりません。

養護施設で育てるわけではなく、家庭的な環境で育てることになります。里親制度は養子縁組を前提とする場合と、一定期間に限定して育てることを想定している場合があります。縁組の希望はおよそ30%ほどとされています。

たとえば、自分では子供ができない場合に養子を取りたいと思っても、相手との相性もありますので、いきなり親子関係を作り出すのは抵抗があるでしょうし、そもそも親戚や知り合いに心当たりでもない限り、相手を見つけることも困難でしょう。

子供を良好な環境で育てることにも貢献できますので、まずは里親制度で実際に育ててみて、その上で双方の合意が成立したら縁組をして法律上も親子としての関係を築くのは現実的な対応となるでしょう。

減少する里親

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世の中の流れとしては、里子はゆるやかながらに増加傾向にあります。しかし、里親は減少傾向にありますので、ニーズは高まっています。実親が十分に養育できる環境ではない場合、子供にとっても他の環境が必要になります。

血のつながった実の親に育てられるのが幸せだというのは一理ありますが、現実には劣悪な家庭環境で育っている子供もいます。そうした場合、里子に出されることによって幸せに暮らせることもあるのです。心情的に受け入れがたい方も少なくはないと思いますが、里親になることは社会的に見ても意義のある行為なのです。

養子縁組にあたって

里子の年齢によっても、普通養子縁組しかできない場合と、特別養子縁組も可能な場合があります。後者は離縁が困難になりますので、より慎重になることが求められます。

実の親子でも円満に暮らしている例ばかりではありません。思春期や反抗期に大変な思いをすることは珍しいことではありませんし、大人になってからも苦労させられる例もあります。まして、血縁関係がない里親の場合であれば、なおさら苦労することもあります。

里親と里子の双方が幸せになるためには、時には縁組をしない方がよい場合もあります。一時の感情に流されず、冷静に判断することが必要です。法律的に親子として認められるメリットがある反面、扶養義務も発生しますし、離縁をしない限りは関係が続いていくことになるのですから、重要な問題になります。

遺産相続にも関わる問題ですので、法定相続人として子供よりも下の順位である親族、つまり親や祖父母、兄弟姉妹にも影響を与えることを認識しておく必要もあります。